「地元」の生活


2020年6月26日

何とか一週間程度のインターバルでブログを更新できた。自分にしては上出来である。

では前回の続きから始めよう。

都会に価値を感じなくなった人々の暮らす場所、それが「地元」だ。地元というと一般的には田舎だったり、地方だったり、郊外だったりする印象があるが、東京23区で生まれ育った人にとってはそこが「地元」だ。地元も都会も地理的な場所を指す言葉では必ずしもない。都会は、内外から集まってくる人とモノと情報を融合し機能させる装置、とでも考えた方がいい。渋谷のスクランブル交差点はその意味では都会を象徴する装置の一つだが、もともと道玄坂に住んでますという人にとっては、単なる地元の駅前交差点にすぎない。都会にいるから地元がないという訳ではなく、誰にとっても自分の「地元」は存在するのである。

さてその「地元」をどのように再生ないしは活性化するかが今日のお題だ。ここからはやっぱり地方や郊外の「地元」をイメージしてもらった方が分かりやすいかもしれない。

よくあるパターンは、駅前の商店街を活性化させましょうといった試みだ。中小企業庁がそのための補助金も用意している。確かに近所の商店が活気を帯びれば、街全体が元気になった気になるし、地元で時間を過ごす時間ももっと楽しくなるだろう。商店街をレバレッジした“町おこし”は、それこそ何百何千という全国の市町村でこれまで進められてきた。でもその成果はどうだったのか?

中小企業庁の統計では、商店街と呼べる商店の集まりは全国に約14千を数える。その大半は、“町おこし”の甲斐なく衰退を絵にかいたような惨状だ。平均で一商店街あたり約50店舗が軒先を並べるが、その内の約15%つまり7~8軒が空き店舗だそうである。2000年代の初めはこれが7~8%で今の半分程度だった。つまりシャッターが下りたままの“年中休業店”は、残念なことに年々増え続けているということになる。全国平均でそうなのだから、地方に行けば行くほど空き店舗の数は増える。ゴーストタウンのようになった所謂“シャッター街”も今や地方ではお決まりの風景になった。

私の地元の駅前商店街もご多分に漏れず空き店舗が多い。数えたことはないが、5軒に1軒くらいは開いているのを見たことがない。かろうじて営業している店でも、その大多数は看板が剥げ落ちたり、壁が汚れたままだったり、とにかく老朽化が激しい。商店街の通り全体を眺めると、空き店舗の数以上に寂れた印象を受ける。お店で働く人は殆どご高齢の方ばかりで、訪れる客はまばらだ。後継者が居らず止む無く閉める店も少なくないと聞く。これぞ地方の縮図。万策尽きた感満載だ。

今回のコロナ禍は、この“万策尽きた感”からの起死回生となるかもしれない。前回も語ったように、みんな都会の真ん中まで通勤するのを(少なくとも毎日通勤するのを)嫌がるようになった。勢い地元で過ごす時間が増えている。オンラインで買い物も、仕事も、飲み会もできるのでわざわざ遠くまで出かけなくてよい。地元で過ごす時間は否が応にも増える。ならばもう一度気を取り直して“町おこし”をやるか?ならば何から手を付けるか?

ここでよく考えたいのは、それを仕掛けるのは誰なのか、どういう視点から仕掛けるのかということである。今までの“町おこし”は商店街の組合のような当事者ど真ん中の人たちが、国から補助金をもらってお祭りをやったり、〇〇商店街一斉セールなんかをやったりして俄かには盛り上がっても長続きしなかった。十年一日の打ち上げ花火を上げて終わりでは、“町おこし”も地域活性化も到底実現しない。

おそらくこういうことは商店街組合よりも第三者のマーケターに考えてもらう方がいい。お店本位でなく、そこに住む住民の視点から考えれば自ずと方策が見えてくるはずだ。不肖私もその端くれを自負しているので、試みに考えてみた。地元に戻ってきた消費者の皆さんは、日々何を思って生きているのか?

・都会と同等の商品・サービスが、都会よりも安く手に入るなら買おう

・どこでも買える日用品や普段着や書籍なんかは、ネット通販で買おう

・地元でしか買えないものは地元のお店で買おう

・運動を兼ねてウォーキングついでに買い物に行く

・家事や育児もやらないといけないので、隙間の時間は有効に使いたい

・地元にいてもプライバシーは確保したい

・地元にいても楽しく過ごしたい

・地元なんだから、気兼ねなくリラックスして過ごしたい

前述の、自宅近くの商店街にある美容院は、コロナの緊急事態宣言の間、意図せずお客様が増えた。それまで都内の美容院に通っていた地元民を新規顧客として取り込めたからだ。一部のカリスマと言われる人を除いて、ヘアスタイリストの技術などは都会も郊外も大差はない。それでいて郊外や地方の方が値段はずっと安い。ならばそこでいいかとなる。

どこでも買える日用品や衣料品等を売っているお店は、リアルの対面販売にこだわってはダメだ。お店はショールームと割り切り、通販で売ることを主眼にすべきだ。老朽化した店を改修するにしても、壁の塗り替え等最低限のお化粧直しにとどめる。その分WEBサイトの作りこみにお金をかける。店内で商品を眺めたお客が、スマホで購入できるよう、ゆっくり座れるスペースと自社のWEBサイトへの誘導を丁寧に行う。こういう商売でないと多分大多数の日用品、衣料品のお店は儲けにならない。

地元民がよくウォーキングするコースの壁に、商店街のシリーズ広告を貼る。広告のデザインとコピーは素人ではなくプロの手を使う。そこにお金をかける。商店街の統一感やブランドイメージへの好感を抱かせ、どんな店があるか、店ごとにどんな特色があるかを再認識させる。

休日には地元の「今週の話題」や、街の歴史・エピソード等を瓦版スタイルで街頭紹介する。瓦版の売り子にはタレントを充て、商店街スタッフがライブ配信する。

思いつくだけでもこんなアイデアがある。すべてが地元の活性化につながるかどうかは分からないが、やってみる価値はあると思う。わずかな資金があれば、今からでも企画をスタートさせることができるはずだ。国からの補助金なんて辛気臭いことは期待せず、クラウドファンディングでお金集めてやってみませんか?

最後に一つ。この手の話をすると、「スマートシティ」はどう思うか?と聞く人がいるが、あれはAIとかIOTとか最新の技術でカムフラージュされてはいても、根っこは供給側の“上から目線”のコンセプトに立脚したアイデアにすぎない。昔のバブル時代の“ハコモノ行政”と発想の原点は変わらない。ユーザー視点が皆無などころか、個人情報を徹底的に吸い上げて監視社会を作るという危険性さえ孕んでいる。百害あって一利なしだ。こんなことに入れ込んでいる企業や自治体は再考した方がよい。

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